9時――校内にチャイムが鳴り響き、文化祭はじまりを告げた。 どのクラスも一斉にざわつき始めた。 ぼくはとにかく、はしまきを作って売りという作業に没頭していた。 売り上げは上々。 気がつけば時計の針は11時を指していた。 そういえばさっきからさゆりの姿が見えない。 ぼくは、はしまきを焦がさないようにリズムよくひっくり返しながら、暇があれば人混みに目をやりさゆりを探していた。 そして気がつけば、さっきまで11時を指していた針が12時を指していた。