「僕、ダイヤモンドって言うの。ねえ、僕の背中に乗って空を飛ばない?」

フェニの目の前には長老の洞穴で見たユニコーンがいた。

気のせいか体が大きいようだわ。

「うん、大人の体になったの。ユニコーンは不思議な生物だから、いろんな力が使えるんだよ。これは夢想力って言って夢の中で自由に想像できるの。僕は君を乗せて空を飛びたいって思ったんだ。さあ、乗って」

フェニはダイヤモンドにうながされて背中に乗った。

そういえば、翼は?

フェニが思った時、ダイヤモンドの背中がモゾモゾしたかと思ったら、そこから白い翼が生えてきて広がった。
私が夢見たような翼だわ。

ダイヤモンドはその翼を数回はためかせながら、かけ出す。

そして、後ろ足をけって空に飛び上がった。
「わぁー、気持ちいいな。こんなの初めて」
フェニはまだ子供なので民の背に乗ってことがないのだ。

「そうでしょ。しばらく勝手に飛んでいるからね」

ダイヤモンドの背中のフェニはなくしていたはずの笑顔を取り戻していた。