タイムトラベルやってます

黒猫は散歩の途中、大きな屋敷の壁の看板を見つけた。

-なんだ?タイムトラベル?-

猫は首をかしげる。

「はーい、いらっしゃいな。中に入ってください」

窓から子馬が話しかけてきた。

-今、馬がしゃべったな?-

「僕は馬じゃないよ。ユニコーンなの。名前はダイヤモンド」

-俺の言葉が姿が見えて聞こえるのか?-


「うん、見えるし、聞こえるよ。ユニコーンには不思議な力があるんだもん」

ダイヤモンドは短い茶色のたてがみをふって言う。

-そうか、じゃまたな-

そう言って、黒猫は歩いて行こうとする。


「ダイヤモンド、お客さん?」

ダイヤモンドの後ろから美しい茶色の髪の女性が顔をのぞかせた。
猫の足が止まる。

-ちょっと寄ってくか-
「は~い、そこのドアから入ってください」

猫はドアの方に向かう。

「あら、誰かお客さん?誰も見えなかったわね」

「見えたもん。僕はユニコーンなんだよ。誰でも見えるし、お話できるって前に言ったじゃない」

ダイヤモンドは泣きそうな声で言う。


「そうだったかしら。……さあ、お客さんの相手をしなきゃ」