「ローソクに火を」

とフェニは唱える。

ローソクの形が一瞬かき消えたかと思うと次の瞬間には火がついていた。

「父さん!見て、火をつけたの」

フェニは父親のフェニックスの元にかけよる。

「おお、よかったな。フェニはできる子だからな」

フェニは父親の大きな手で頭をなぜられて満足げだ。

「もうすぐフェニも5才だな。誕生日には何が欲しいかな?」

暖炉の火が巻き毛の赤毛に映ってよけい真っ赤になっているフェニは暖炉の火を映した透明の瞳を見開き顔を輝かせて

「父さんがいれば何も入らないわ」

と言って父親に抱きつく。

「それは嬉しいな。俺は母さんとフェニがいればじゅうぶんだ」


「あなた、フェニ、ご飯よ」

いつも顔に不満を浮かべたような母親のマーガレットがいらだたしげに声をかける。

マーガレットはフェニが妖術を使うことにいい顔をしないのだ。