男は(フィルという男で傭兵に行ってたはずだ)フウと大きく息をした。

フェニックスは手が引っ込んだリルスの玉を懐にしまう。

もう大丈夫そう。よかった。

しばらくしてフィルは眼を開ける。

「助かったのか、ドラゴンは?」

「えっ、いなかったけど…ドラゴンにやられたの?」

「護衛の仕事で王都から出て街道を進んでいると突然、空から襲ってきたんだ。何とか顧客は助けられたが、俺がやられてしまったんだ。リルスの玉も取られてしまってな。助かった。ありがとう」

「いいえ、運がよかったのよ。それにしても街道にドラゴンが出るようになったのね」

「あぁ、今まで大丈夫だったんだ。ドラゴンとは初めて戦ったが、翼があってもキツかったぜ…まさかドラゴン討伐にフェニ、あんたが行くのか?」

「そう、私が行くのよ。父さんと母さんに勝つって誓ったもの」

「そうか、頑張れよ。…まだ調子が戻ってないから王都の宿まで俺を連れて行ってくれないか?」

「いいわ」

と言ってフィルの体をおぶって王都へ向かって歩き始める。

ひとまずここで終わりです。