川下りは何事もなく順調に過ぎて王都の手前の村が見えてきたので筏を降りることにする。

やっぱり王宮に入るには身綺麗にしといた方がいいわね。それに久しぶりにお風呂に入りたいし、美味しいものも食べたいわ。

フェニックスは埃まみれの体を見て思った。
筏はまた使うこともあるかもしれないので土手に上げて置く。

そして、川を離れて森に入ったフェニックスの眼に血だらけで倒れている翼のある男の姿が入った。

ララミーの民じゃない!誰かしら?

フェニックスは懐からリルスの玉を取り出しながら駆けつける。

リルスの玉から強い白い光が出て男の傷を癒していく。

間に合うかしら?

フェニックスはリルスの玉を使うことしか出来なくていらだった。
やっと光が消えたのでリルスの玉をしまって男の心臓に手をおくと弱々しく動いていた。
あとはどうすれば?

[快復の妖術を使うんじゃよ。リルスの玉を向けて快復と唱えてごらん]

リルスの玉の中の小人の声が頭に響いた。

フェニックスはまたリルスの玉を取り出して男に向けて「快復」と唱えた。

玉から今度は大きな手が飛びだして心臓に触れる。