腕枕で1時間、くだらない話ばかりをした。



付き合わないでカラダの関係ってのは、俺的に複雑な心境。



それに、杏里なら好きになれる気がする。



「付き合わない?俺ら」



これから先、もっと杏里を知りたくなった。



カラダだけじゃなく、杏里のすべてを。



なのに…。



「勘違いしないで。男はいらないって、前に言ったでしょ」

「意味わかんねぇって」

「あたしは誰のことも好きにならないの。簡単に、誰かを好きにはならない」

「マジでカラダだけ?」

「そうだよ」



すげーショック。



ヤりたかっただけ?



「ストレス発散できた。ありがと、尚道」

「誰でもよかった?俺じゃなくても…」

「どうかな?尚道じゃなきゃ、誘ったりしなかったかもね」



思わせぶりな態度。



バスルームで着替え始めた杏里の後ろに立ち、その光景を眺めていた。



「あのさ、俺は誰とでもこういうこと、しない男なんですが」

「知ってるよ」



わかってんならなんで…。