【ケント】



人間はやっぱり好きになれねぇ。



動物は話をしないから楽。



「ニャ」

「便所か?」



拾った猫は俺になついている。



俺が帰れば、足下にすり寄ってくるだけじゃあきたらず、肩に乗って座り込む。



そんな愛情表現されたら、言葉なんていらないんじゃないかとまで思う。



人間は嫌いだ。



「あっ、猫さん!!」



コイツはなんだか別だけど。



女子校の制服を着た、背の低い女。



どっかのお嬢様だと思う。



最近、頻繁に会ってる。



猫を拾った公園に、コイツはやってくる。



そして勝手に喋って、勝手に帰る。



「今日、小テストがあったんですよ。あたし、ぜんぜんできなくて~…。猫さんは頭いいですか?」



俺はヒトコトも発さないのに、コイツは納得してくれる。



首を横に振るだけで、コイツに気持ちは伝わるらしい。



「勉強なんて、なくなっちゃえばいいのに」

「…………」

「猫さん、何も言わないから…一緒にいると落ち着きます」



よくわからない。