連れてくるんじゃなかったかもと、初めて思った。



旅館の中は俺がいた頃とは違い、リニューアルされてる。



「全館バリアフリーにしたんだよ」

「ん、見たらわかる」

「ひと部屋取ってあるけど、ケントは部屋…どうするつもりだ?前に住んでた部屋ならそのままだが」

「若菜と一緒でいい」

「何考えてるんだ、この思春期め」



オイ、じぃさんこそ何考えてんだよ。



ニヤケてんじゃねぇよ。



「変わってねぇな」

「お前はデカくなったな~。出てった時は同じくらいじゃなかったか?」

「ばぁさんは?」

「あぁ、ばぁさんなら今は部屋で寝てる」

「は…?」

「母屋に行ってやれ」



元気だったばぁさんになにが…。



若菜に今日泊まる部屋を案内してから、同じ敷地内にある母屋へ急いだ。



ばぁさんの部屋の前で緊張してることに気がついて。



「ばぁさん…、ケントだけど…」

「ケント!?帰ったんだね」



ふすまを開けたら、敷かれた布団の上にばぁさんは起きあがってテレビを見ていた。