楽しみにしすぎて眠れなかった若菜は、高速に戻ってしばらくすると眠り始めた。



俺が喋らないから、退屈なのかも。



だけどいつもこんな感じだから何を話したらいいか…。



暑さに弱い若菜のために、エアコンは全開。



寝たら寒いんじゃないかと、俺の上着をかけた。



そしてやっと目的地。



「若菜、起きろ」

「んっ…、ごめんなさい…寝てしまいました…」

「着いた」

「うわぁ!!ステキな旅館!!」



俺がいた頃と変わってない。



しっかり手入れされてる庭園は、緑がキレイだ。



「ケント!!」

「じぃさん…」

「よく来たな!!」

「頭…白い…」

「そりゃあ歳だからな。白髪くらい…おっ、そちらさんがケントの…」



ペコッと頭を下げた若菜はじぃさんに自己紹介をし始めた。



ニコニコしてて、第一印象はいいと思う。



「口数が少なくて大変でしょうけど、根は優しいヤツですから」

「わかってます!!ケントさん、とてもいい人です!!」



何恥ずかしいことを…。