【尚道】



俺は悠大のことも、ケントのことも、陽のことだってよく知らない。



アイツらも、俺の事情は知らない。



だけど、陽に何があったかというのは少なからず知っている。



引きこもった陽のことを、俺がよっさんに話した。



家庭が複雑だとは言っていたけど、あんなに険悪だとは思ってなくて。



そんな陽が、突然よっさんと話したと思ったら…いなくなった。



「静かな朝っスね~…」

「アイツがいるだけで5人分は騒ぐからな」

「帰ってくんのかな、ちゃんと…」



陽が実家に帰ったと、よっさんに聞かされたのが3日前。



学校にも行かず、連絡も取れない。



俺が口出していいことではないけど…俺からしてみれば、弟のようにカワイイ陽が心配だ。



「アイツもアイツで頑張ってるだろうよ」

「ならいいけど…」

「帰ってきた時、髪の毛何色になってると思う?」

「今度こそピンク」

「じゃ、俺緑~」



陽がいない分、俺とよっさんがバカを言ってる気がする…。