陽が静かになると、家全部が静か。



陽が笑ってバカ言ってねぇと、悠大も尚道も笑えねぇ。



「暗い顔ばっかりしてんじゃねぇよ」

「いっ…」

「ひとりで解決しようとしやがって…。少し頭冷やせ」

「ちょっ、離せよケント!!」



裸同然だし。



ちょうどいいだろ。



髪の毛を掴んだまま引っ張って、バスルームに放り投げた。



「冷たっ!!マジ…なにすんだよ!!」

「話ならよっさんに聞いてもらえ。あの人に迷惑かけんのは、許せねぇ」



頭から冷たいシャワーをぶっかけたら静かになった。



お前の抱えてるものを俺は知らない。



だけど、大事なヤツらに心配ばかりかけるお前が許せない。



「気持ちぃ…。ありがと、ケント」

「わかればいい」

「よっさん、何時に帰るかな~」

「その前にメシだ」

「腹減った~!!メシ当番誰?」



俺は陽が嫌いだ。



嫌いな俺に、素直に礼なんか言えるお前が…俺は嫌いだ。