家に帰ると誰もいなかった。



よっさんも会社に戻ったので、この広い家には俺とマル。



風呂に入り、静かな空間がむしょうに寂しくて。



若菜に電話。



「もう寝ますよ」

「早い」

「体育あったから疲れたんです~」

「トロそうだな、お前…」

「運動は嫌いですね~」



電話なのに初めて会話が弾んだ。



学校での若菜ってのは、どんな感じなんだろ。



「頭いいのか?」

「全体で20位くらいです。ケントさんは?」

「頭は悪くない。一応上位にはいる」

「ウソですか?」

「失礼だな、お前」

「頭良さそうに見えないですよ」

「ははっ」

「あぁぁぁ!!今笑った!!顔見たかったですぅ~…」



いつも笑ってんだろ。



顔はどうかわかんねぇけど、心は笑ってる。



「ケントさんの笑った顔、レアすぎて貴重ですから」

「若菜はいつも笑ってる」

「近くにケントさんがいたら笑いますよ。嬉しいですもん」



照れるからもうやめてくれ…。