【ケント】



リビングに響くため息。



犯人は尚道。



バイトが休みだと思えば辛気くせぇ顔しやがって。



「悩み事スか?」

「えっ!?悩みなんてないない。ってか陽、お前のトマト料理、相変わらずうめぇな~」

「空元気」

「なっ!?」



思ったことが口から出る悠大に痛いとこを突かれた尚道はごまかすように笑った。



基本的にあまり深入りしない。



俺たちは一緒に住んでるけど、家族じゃない。



「俺の分もメシある~?」

「あるよ。久しぶり、よっさん」

「ん~、4日寝てねぇ」

「座って、用意するから」



よっさんの久しぶりの帰宅。



会社にこもってたのか…。



「尚、休みなら飲む?」

「飲もうかな~。買ってくる」

「気がきくねぇ、尚道~」



悠大のケガも驚異的に回復してるらしく、最近平和だ。



まぁ、俺から見たら陽はものすげー勢いで悩んでるように見えるけど。



ふとした時の表情が、来たばかりの時の顔になる。