それでも無表情な斎藤。



「お前のそういうとこ、超好き。で、もうコイツとヤった?」

「だったら何?」

「じゃ、お前もういらねぇ。好きにすればいい。って、よく引かねぇな。物好き?」



意味がわからない。



それに俺は斎藤とそういう関係じゃないんだけど…。



「別れるって…ことですよね?」

「早く連れてけ。次はマジで…二人とも殺しそうだから」



狂気に満ちた目を見て、本当にヤバいと思った。



もうこの人と関わることはないだろう。



頭を下げて、部屋から出ようとした。



「おい、お前、名前は?」

「杉田…悠大です」

「悠大、根性あんな~」

「失礼します」



一瞬だけ、本当に一瞬。



レオ先輩が寂しそうな顔をした気がした…。



「ウソ…みたい…」



また泣き出した斎藤の涙を隠したくて、またさっきの部屋。



斎藤は強くなんかない。



本当は弱くて泣き虫な女。



「ハァ~…、死ぬかと思った…」

「あり…がとう…。本当に…」



うわっ、照れたよ…。