【悠大】



死ぬかと思うくらい殴られた。



あの男は異常だ。



斎藤の彼氏。



腕にヒビ、肋骨3本骨折、奥歯2本と右耳の鼓膜。



俺が斎藤を助けようとした代償。



警察は事情聴きにくるし…。



いちばん迷惑をかけたのはよっさん。



親にひたすら謝罪の電話を入れてくれた。



「話したくなきゃ、覚えてないで貫き通せ。そんなに殴られてりゃ、記憶飛んでもおかしくねぇから」



言いたくないことはムリに聞かないでいてくれる。



今の俺にはありがたい。



5日入院して、家に戻ってもしばらく安静。



だけど動いてた方が、気が紛れる。



「またメシ作ってんのか」

「腕は痛くないから」

「そんなに動くなら、いっそ折れた方がよかったんじゃねぇか?」



笑って冗談を言ってくれるよっさんが、俺は大好きになった。



何もわかってない俺が斎藤の彼氏、レオ先輩に斎藤と別れてくれと言ったのが始まり。