ムカついてきた。



「利用しただけ?」

「うん」

「最低だな」

「そうだね。尚道、いい人だから。悪い女にひっかかっちゃった」

「マジで言ってんのかよ…」

「男はいらない。じゃ、また明日、村上くん。ごちそうさまでした」



そう言って本当に帰ってった。



残ったのは、胸の中のモヤモヤ。



俺には杏里がそこまで悪い人間には見えないから。



どうして自分から離れて行くようなこと、言うんだろう。



とれたはずの壁がまた立ちはだかった感じ。



「わっかんね~…」



シャワーを浴び直し、家に帰ったのは明け方。



初めて女に食われた…。



あんな誘いに乗らなきゃよかったぁ~…。



俺はもう、杏里をバイト仲間の柴田さんとしては見れない。



後悔すんなとか言って、俺の方がこんな感じになってんじゃん…。



とりあえず眠った。



「朝帰りの尚ちゃ~ん、朝メシだよ~」

「陽っ!!降りろっ…」

「今日も悠大んとこ行く。尚くんも行く?」

「ん、顔出しに」

「うちのシャンプーと違う匂いする。やらし~」



やらしいのは俺じゃねぇ!!



もう…わけわからん。