「何でだよぉ! 何故なんだぁ!」

ハズミはソウマの店内で、泣き喚いていた。

いつも通り、客は全くいないと思ったら…。

「うるさいですよ、ハズミくん。もう少し、静かにしてもらえませんか?」

キシが客として来ていた。

「まあまあ。ハズミはマカがマミヤを連れて、出かけてしまったのを悲しく思っているんですよ」

ソウマがハズミにホットココアを淹れたマグカップを渡した。

「ううっ! 何でマミヤが良くて、オレがダメなんだよぉ」

「今回、マミヤの方が適任だったというだけですよ」

「ボクだってヒミカを連れてかれて、不機嫌なんですよ。キミもガマンしなさい」

「うわーん! …ずずっ」

泣きながらもココアをすするハズミを見て、キシはあきれた表情でため息をついた。

「全く…。マカさんの気苦労が手に取るように分かりますね」

「どういう意味だよ? それを言うなら、オレだってヒミカの苦労が分かるさ。アンタみたいな粘着質のストーカーに好かれちゃ、気の休む時なんて無いだろうね」