一輝と沙華は同時に恩を見る。
沙華は今まで恩の存在に気付かなかったらしく、今やっと気付いたらしい。

「俺と佐野氏は同じ学校の友達だぜ~」
「…誰が友達だ」
「うっわー、ひでーこいつ。お前もそう思わねぇ?」

めんどくさい話になりそうだ、と思って一輝の方は溜め息をつく。
恩の方は相変わらずの無邪気な顔だ。

「俺の友達の友達は友達っていいますし、とりあえず、苗字教えてよ」

気が合う奴を見つけた、と言わんばかりに沙華の方は爽やかに笑ってみせる。

「俺は小野坂沙華。佐野氏とは幼馴染みさ。で、お前は?」
「星恩。よろしくね」

2人は軽い自己紹介をすると、互いに学校の話をし始めた。

(…俺の立場なくないか…?)

一輝はすねた顔をし、腕を組んで2人を見た。

「おい、今日テストあるから、教室戻りたいんだけど」
「あれ?保健室は?」
「……もう治った。ほら、行くぞ」
「へいへい」

一輝を先頭に、教室に戻ろうとする。
小学校が他校の者も、何故か一輝の事をしっていて、そのため、一輝の歩く道には邪魔は入らず、教室へついた。

「まるで金持ち王子様だな、佐野氏」

沙華の言葉にむすっとした一輝だったが、大人しく席へとついた。
教室には、もう大勢の生徒が賑やかに話をしていた。