それを、ユキはたった一人で抱え込んでいる。

僕にも隠そうとしている。

だから、家まで送らないでと言ったんだと今になって気付いた。


明日、2日ぶりにユキに会えることが嬉しく感じられない。

僕はどういう顔で会えばいいのだろう。



「おっは~!ハル!あんたの好きな人って隣のクラスの春瀬さんでしょ?」

山田のあまりのストレートな質問に僕は驚く。

いつも通りの明るさに戻った山田は、山田なりに僕に気を遣っているのか。

山田の考えた僕を失わない方法が、友達として何事もなかったように接することだったのかもしれない。

「噂になってるよ。最近よく一緒に帰ってるって2年の先輩が言ってた。」

2年まで、僕の存在が知られているとは僕自身全然知らなかった。

「ハルに中学の時、告白したけどフラれたって言ってたよ~。その人が、友達にハルのこと話したら、みんながハルの事、かわいいって言ってるらしいよ。春瀬さんが大事なら、守ってあげなよ。その先輩の友達って結構怖そうだったよ。」


・・・僕の知らないところで、そんなことが起きていることに寒気がした。


山田のおかげで僕のユキを守りたいという気持ちがより大きくなった。

やっぱり、会って確かめたい。



意気込んで隣のクラスへ行ったが、いくら探しても、ユキの姿はない。

シンに聞いたところ、ユキは今日は休んでいるらしい。

ますます心配になる。僕の不安はまたもくもくと膨れ上がる。

やっぱ連絡先聞くべきだったと後悔した。