こうしている間にも、ユキは涙を流しているのかも知れないと思うと、心配で心配で仕方がない。


自分以上に誰かを思うことって僕の人生では初めてのことかもしれない。

心配で、気になってどうしていいのかわからなくなる。


でも、もう一度あの場所に行く勇気はない。


心のどこかで願った。

あの家は、ユキの家じゃない。

あのおばさんは家にゴキブリが出て恐くて逃げたんだ。

そんな風に現実から逃げても、すぐに引き戻されることはわかっていた。



でも、今日一日考えて出た僕の想像の答え。




 ― 彼女は家庭内に何かトラブルを抱えている ―