「なー、どこいくー?」僕は風の音に負けないように、大きめの声で叫ぶ。

「え?なんて~?」ユキは僕に顔を近づけた。

それ以上近づいちゃだめだ。耳元に顔をくっつけてくるユキは、僕を男だとわかっているのだろうか。

ユキさん、もしも~し、あの・・・胸が当たってるんですけど・・・。


「どこいこっかって言ったんだよ~!」もっと大声で叫ぶ。

「ハルの家の近所がいい~」また胸を当てつつ、ユキは言う。

「OK!!」

昨日一人で、浸っていた公園に行くことにした。

あそこは、夕方になると子供たちもいなくなって静かだ。

「ハルに聞きたいことがあるんだ。ハルの家族ってどんな感じ?」

夕暮れの空を見上げてユキは聞いた。


「ん~、ほんとに普通だな。普通の4人家族。変わってるとこと言えば、おかんとおとんが仲良しだってことかな。」

「そうなの?仲良しなの?お父さんとお母さん。へえ~、そっか。いいね、そういうの。ハル見てたらわかる。ハルは、楽しい家庭で育ったんだなって思う。」

家族のことを話すって男友達とはあまりない事だから、新鮮に感じる。


「そうかな~?ユキんちこそ、すごい幸せそうだよ。朝から、ハニートーストとか食べてそうなイメージ。」


「あはっ。食べないよ~。しかも、うちは和食だよ。思いっきり、たくあんとか置いてあるよ。」

行ってみたいな。


ユキの家。ユキの部屋。