どくんどくん ~SPRING SNOW~

僕は、ユキに出逢い、

ユキと愛し合い、

自分を変えることができた。

夢も見つかった。

でも、その夢の先の先にいるのは・・・ユキだよ。


いつか、もっとかっこい男になってユキを幸せにできるようになったら、

またこの場所に来よう。


そして、大声で言うよ。

『結婚してください!!』ってね。


そのときまで、どうかユキ、待っててね。



桜の花びらが僕らを包む。

「泣きすぎだよ、ユキ!」

卒業式が終わって、ユキは涙でいっぱいだった。

涙でぐしょぐしょになった顔でユキは笑顔を作ろうと必死だった。

「うううぅ・・ハル・・・第二ボタンちょうだい・・」

ってね。


第二ボタンどころか、ユキになら制服だってあげちゃう。

なんなら、僕をあげちゃう。


ユキと出逢ったこの高校。

ユキと過ごしたこの校舎。

ユキと歩いた廊下。

ユキとキスした図書館。

ユキと毎日帰ったこの坂道。


「サンキュ~!!」 



僕は、校舎に向かって叫ぶ。


「ありがと~!!高校三年間!!」


シンも叫ぶ。


まだ涙が止まらないユキを抱き上げる。



「絶対またここにくるからな~!!それまで待ってろよ~!」



下駄箱の横の桜の木に叫んだ。


僕たちの卒業を祝うかのように、キラキラと光る窓。


響く僕の声。


みんなの笑顔や涙、たくさんの気持ちを受け入れてくれたこの高校。