重い病気で何もする気が起きないと言っていたおじいさん。

身内が誰もお見舞いに来てくれないと嘆いてたおばあちゃん。

小さいのに、片足が不自由な男の子。

今にも赤ちゃんが産まれそうな妊婦さん。

旦那さんの手術を明日に控えて不安に押しつぶされそうな1人の奥さん。


たくさんの拍手の先に、2人はいた。


心に染み渡る優しい歌詞とメロディー。

あったかい笑顔。


「こんなの見るの初めてじゃよ。天国へのいい土産になるな。」

と、目を細める一人のおじいちゃんは、ハンカチで目頭を拭った。


「泣いてなんていられないね。私も頑張らなきゃね。」

そう言って、笑顔を取り戻し、旦那さんの元へ走って行った奥さんの背中はさっきまでとは違っていた。

「僕もギター弾けるかな?走れないけど、ギターなら弾けるよね?」

車椅子の少年は、大野君のギターを興味深々で見つめていた。


みんな、夢の中にいるようだった。

キラキラした目をしていた。

たくさんの笑顔と勇気と夢をもらった僕らは、ひとまわり大きくなれた気がしていた。