その日の大きな満月は、僕に勇気をくれた。

僕、絶対リハビリ頑張る!!

次にユキに会うまでに絶対歩けるようになってやる。

満月の中のユキに誓った。



「ハルっぺ~!!今日もビンビンしてるね~!」


どんなテンションだ。

朝の8時から絶好調な水野さん。


確かに、朝からビンビンだったんだけど・・・

ユキの夢見ちゃったから・・・


「僕、歩けるようになるまでユキに会わないって決めたんです。」

「へ~?急にやる気満々じゃん。感心だね~。歩けないとHもできないもんね。」

「もう!また下ネタ。僕、燃えてるんです。だから、頑張るんでお願いします。」

「了解!男として、君のその気持ちよ~くわかる。そういう男気キライじゃないから、応援するよ。じゃあ、早速今日から歩行訓練するぞ!」

「はい!!お願いします。」

良くなってると思ってた僕の足、腰、首・・・。


そう甘くはなかった。


骨折は、ほとんど完治したんだけど、まだまだ厳しい。


「痛っ!!・・・」


僕は倒れた。


「はいはい。起きて起きて。はい、もう一回。」

水野さんは淡々と、でも温かく僕を支えてくれた。


ユキは、おばあちゃんちに戻り、お父さんは施設での生活が始まった。

ユキが、来週また会いに来ると言ってくれたが、僕は断った。


「しばらく、リハビリに専念したいから、いいよ。交通費もかかるし、治ったら僕が会いに行くから。」

そう言いつつも、寂しくて仕方ない。

でも、こんな情けない姿ユキには見せられない。