僕は聞きたかったことが聞けなかった。

僕らのこれからのこと。

僕らはこれからどうやって愛を育んでいけばいいのか。

ユキとユキのお母さんが、これからどうするのか、どこで暮らすのか。

ユキ自身もわからないのかもしれない。

お父さんが施設に入ることになったということは、あの家にはお兄ちゃんしかいない。

ユキとお母さんが帰ってくる環境は整った。


どうか、ユキが戻ってきますように・・・。


ユキが帰って、僕は急にリハビリにも力が入らなくなったんだ。

そんなときに、僕の心の師匠、水野さんがエロ本を持ってきてくれて僕を励ましてくれる。

僕を笑わせてくれるための小道具だってわかる。

「なにしょぼくれてんだ?うじうじしてる暇があんだったら、勉強しとけ!!」

ってね。


僕もこんな大人になりたい。こんな仕事がしたい。

こんなキャラにはなれないけど、こんな風に患者さんの気持ちを軽くしてくれる存在に夢が膨らんだ。

事故で怪我をして、痛くて怖い経験をしたが、こんな素敵な出会いがあった。


ユキの家庭も少しだけど、明るい光を見つけることができた。


死ぬかもしれないと思ったときに、僕が感じたこと。



それを、大事に生きていこう。