僕は、ユキのお父さんに紹介してもらった理学療法士の水野さんという人にいろんなことを教わった。

僕の怪我のことでお世話になってるだけでなく、僕の将来の夢の話や、専門学校の話まで、いろんな相談に乗ってもらっている。

「ハルっぺ、最近どうよ~?」

水野さんってこんなノリの人なんだ。

「やめてくださいよ~!ハルっぺなんて・・・。最近どうって毎日会ってるのに。」

僕はこの人が好きだ。

一緒にいてとても楽しいし、リハビリが楽しくなる。


「俺にも、誰か紹介してよ。女子高生。いいな~ハルっぺは、あんな優しい彼女いて。」

こんなこと言ってるけど、水野さんはもうすぐ結婚する幸せ者なんだ。


「俺さ、春瀬先生から家庭内のこと聞いたけど、あの先生の腕はマジすごいんだ。
だから、いつかまた外科医として復活して欲しいよ。」

「そうなんだ。見た目もかっこいいし、優しそうだし、僕も今でも信じられない。」

「ん~。そうだな。でも、人間いろいろあるんだな。今まで家族にどれだけ迷惑かけてきたかって事を、これから反省する日々が始まるだろうな。それは、自分自身と向き合うということ。とても辛い旅になるだろうな。」

水野さんってモテるだろうと思う。

面白いこといったり、冗談言ったりしてるんだけど、たまにすごく良いこと言ってくれたりする。

「施設ってどれくらいで出られるの?」

「人それぞれだな。すぐにやめちゃう人もいれば、すごく頑張って早く出られる人、なかなか前に進めない人もいる。」


水野さんは、僕の右ひざを念入りにもみながら話す。


「僕、ユキのおじさん嫌いじゃない。暴れてるとこは見てないけど、話を聞いていて、憎んでたけど、会ってみてびっくりしたんだ。」

「そうだろ~!俺のあこがれの先生だったからな。酒癖が悪いことは知ってたけどさ。」

水野さんは真剣な表情になる。


僕の目をじっと見つめてきた。



「なぁ、お前・・・童貞??」