「お父さん、私もお母さんもお兄ちゃんも・・・待ってるから。だから、頑張って。」

この2人の長い歴史を知らない僕だったが、2人の心が通じ合う瞬間を目撃できたことが嬉しかった。

「よけいなことしてって怒られるかもしれないけどな、これでもいちおう外科医だからね。
神宮司君のけがの事、主治医の先生に聞いてきたんだ。今日、ここに来たのは、
もし、良かったら、私が長年お世話になっている理学療法士を紹介しようかと思ってね。」

「本当に?お父さん。そのためにここに来てくれたの?」


「私がユキにしてあげられる初めての父親らしい事だ。これからは、もっと頼ってくれな。」


「お父さん・・・。じゃあ、お願いするね。ハルのけが絶対治してね。」


笑顔でユキが、僕をみた。

ぺロって舌を出した。


「参ったな~ユキには・・。わかったよ。私が責任を持って彼のけがを治そう。」



ポカポカした日差しが、病室に差し込む。