『引越しするの?・・・学校も転校しちゃうの?』

『・・・嫌だけど・・・うぅぅぅ・・それしかないの。』

『会いたい。遠くてもいいから会いに行きたい。僕、どんなに離れてても絶対気持ち変わらないから!』

『ありがと・・。私も、離れててもハルのこと、よくわかる。ずっと、大好きだよ。』

『傷は大丈夫?心の傷も大丈夫?』

『うん。なんかフッ切れたよ。もう、お父さんに何も期待しない。変わるかも、なんてもう願ったりしない。』

ユキ、本当はお父さんが好きなんだ。

僕にはわかる。

『退院したら、会いたい。』

『そうだね、私達の初体験も延期になっちゃったね・・・!!』

わざと明るい声で僕を安心させようとするユキがとても愛しい。


『そんなの、いつだって良いよ。ただ、ユキに会いたい・・・。』


電話切ってからも、僕は立ち直れなかった。

半年か一年程したら戻れるはずだと、ユキは言った。


でも、それは僕を元気付ける為のユキの嘘だと思った。


僕がそう思うのも当たり前だ。だって・・・戻れる条件が整ってない。

家を出たという事は、ユキのお母さんは相当の覚悟だったに違いない。


離婚を考えての行動だろうことは、僕にもわかる。

それなら、もう戻ってはこない。