お父さんは、家族を愛していないわけではなかった。


愛しているのに、どうして暴力を振るうのか、それはお父さん自身もわからないのかもしれない。

大人になったお兄ちゃんは、1年前から一緒に暮らすようになった。

お兄ちゃんは、お母さんとユキをいつも守ってくれるが、暴力に暴力で立ち向かっても解決にはならなかった。


お兄ちゃんが守ってくれればくれるほど、お父さんとの溝が深まるようだった。

ユキは、家族4人で仲良く公園で遊んでいた昔に戻りたいと、涙を流しながら言った。


そんな小さな願いを叶えてあげることが、僕にはできない。