ヒュッ ――地面が消えた。 沙奈が認識したのはそこまでで、あとは真っ直ぐ下に落ちてゆく。 でも一瞬見えた女の子の足元には地面があった。 ――落ちてるのは、私だけ? 「ふ…え、え?」 上にみえる丸い穴。 そこから夜空がみえている。 その丸い穴がどんどん小さくなって… 「え、あ、落ちてる!落ちてる!落ちて…きゃあああああ!!」 自分に課せられている状況を把握した時にはもう、 丸い穴は点としか見えなくなっていた―――