数日後。



 病院の個室に守が、見舞いにやって来た。

 買い込んで来た花束と、フルーツゼリーを、床頭台において、困ったように笑う。

「……やあ。
 この前と、立場がすっかり逆転しちゃったねぇ」

「……逆転しちゃったねぇ、じゃないわよ!
 このお莫迦~~!」

 のんきな守の言葉に、ベッドの上の晴香は叫ぶ。

 それは、あまりたいしたことは、なかった、とは言え。

 インフルエンザで入院しているヒトと、何回もキスやら、その他やらをやれば、伝染(うつ)らない方がおかしい。

 だから、病院でえっち、なんてイヤだつたのよ~~なんて、今更言ったってもう遅い。

 晴香は、守から。

 強力な、インフルエンザのウィルスをもらって病院行き。

 反対に、晴香に病気を伝染した守は、けろっと治って仕事に復帰した。

 そんなわけで。

 ベッドで猛烈に腹を立てている晴香に向かって、守はにっこり笑う。

「だから、晴香に悪い、と思ったから。
 今日は、責任を取りに来たんだ」

「せ…責任!?」