彼の本心はずっと隣で育ってきたはずの私にでさえも 全く分からない。 離れてみたり、近づいてみたりと…… 気まぐれな猫みたい。 「今日はどうしたのー」 こうやって聞くのも、もう日課となっている。 返ってくる答えは必ず同じだ。 『んー?奈子に会いたかったから』 平気で甘い言葉を、これまた甘い声で囁く。 こういうところが、千秋がモテる理由なんだろうか。 .