触れる唇に、ピクッと肩が上がる。


後ろからされるキスは、心臓にかなり負担がかかるよぉ……。


「翠央から離れると…、その間に誰かに奪われそうだからさ…。」


先輩はギュッと後ろから抱きしめた。


「そ…それはないですよ…!私…、特に取り柄もないですし、普通ですから…。」


そう、いたって普通だもん…。


匠先輩…考え過ぎだよね…。


「その考え方が何より無防備で危なっかしいんだよ…。ボーッとしてたら、唇奪われてた…なんてこともありそうだもんな、翠央の場合。」


そそ…そんなにボーッとしてるかなぁ、私……。


自分では、普通に生きてるつもりなんだけど…。