と、思いきや。その予想は、一瞬で裏切られることとなる。



「足の数、四本だとたこじゃねぇじゃん」



 あまりの驚きに、あたしは唖然と氷室君の顔を見つめる。


 何があったのだろう。まさか足の数について突っ込まれるとは、誰が想像できただろう。



「だってさすがに、八本は無理だもん」



 いつもの味付けのバランスやら何やらに対する注文ではなく、頭でも打ったのではないかと思ってしまう、子供のような台詞。


 今日はどうしてしまったのだろうか。



「お、今日は美味いじゃん」



 卵焼きを一口食べて、彼は言った。


 自分の単純さに、呆れてしまいそうなほど。


 やっぱり、氷室君のことが、大好きで。


 嬉しくて嬉しくて、仕方がない。


 いつも酷評だったから、こんな一言が本当に、大切になるんだ。