「はぁ?」


ホテルの一室にて、俺は人生最大のピンチを向かえているのかも知れません。


目の前には腕を組んで仁王立ちをする本田コーチ。


眉間に皺を寄せて目の端を吊り上げている。恐すぎです。


一方俺は、ベッドの上で小ぢんまり。恐怖で身体が縮こまる。


本田コーチの怒りの種は、俺が蒔いたもの。


GPSのエキシビションは、五位入賞までの選手しか参加できない。


六位の俺はもちろんエキシビションには参加できず、次のアメリカ大会に向け日本に戻って再調整をするつもりだったのだが、エキシビションが終わるまでロシアに残りたいとコーチに直談判したのがいけなかった。


「ロシアに残りたいとは随分と余裕だな。あんだけ酷い演技をしたくせに、調整の必要がないと?」


「いえ、コーチのおっしゃることはごもっともです……」


なんかこのやりとり、ちょっとデジャブ。