氷の女王に口付けを


いや、でも、そんなことはどうでもいいんだ。


羽生さんなら安心して美優を任せられる。


というより、羽生さんぐらいしか美優の相手をできる人はいない。


美男美女でお似合いのカップルじゃないか。うん、本当に素晴らしい。


なのに、なんだこの気持ち。


……イライラする。


どうしようもなく腹ただしくて、ムカついて、奥歯を噛みしめる。


二人が付き合っているのか付き合っていないのかは定かじゃない。


けど、仮に二人がそういう仲じゃなかったとしても、どうしようもなくやるせない。


俺が許せなかったのは、この怒りの矛先は、あの指輪。


「なんなんだよ一体……」


スポーツバックが、するりと手の中から滑り落ちた。