表彰式に出ることもなく、美優はそのまま近くの病院へ直行し入院。


見舞に行きたかったが、その日はマスコミも病院に駆けつけていたので、面会は完全シャットアウト。


代わりに美優のコーチが会見を開いて、美優の無事を報告した。


幸いなことに骨などには異常がなく、打撲で済んだようだ。


ただその打撲が酷くて、患部の写真も公開されたのだが見るに堪えないものだった。


スケート靴にも大きな切れ目がついていて、とてもじゃないがこれを履いて演技ができる代物ではなかった。


あんな状態で滑っていたなんて、本当に信じられない。


美優の衝突事件は瞬く間に広まり、当たり屋という異名をもつ例の選手は、翌日ISU(国際スケート連盟)から聴取を受けたようだ。


本当は女子FPが終わったら日本に帰国するというコーチとの約束があったのだが、コーチ自らロシアに残ってやれと国際電話がかかってきた。


どうやら佐藤先生が裏で一枚噛んでいるらしい。


コーチも先生には勝てないということか。