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時がたつのを早いと感じるのは、自分の立ち位置をはっきりと把握できていないからだと思う。
自分がどこにいて、どういう立場で、何を欲しているか。
それがわからないから、無意識に駆け足になってしまう。
冬がきて、ひとつ大人になって、気が付いたら小学生最後の年も半分近く過ぎてしまっていた。
「真依、何か変わった?」
ブレスレットを元の棚に戻しながら、隣で指輪を物色している真依に聞いた。
一番安いけど真依によく似合っている指輪をはめながら、「そう?」と答える。
「背伸びたじゃろ」
「言わんでよー。クラスのほとんどの男子、あたしよりちっちゃいんじゃけ」
「ええじゃ、モデルみたいで」
最近髪をバッサリ切った真依。普通の子がショートカットにしたら益々ガキっぽくなるだけだけど、小顔で大人っぽい真依はそれが凄く似合ってる。
あたしは細めのブレス、真依ははめていた指輪を買ってから、お店を後にした。
最近はよく、真依と街に遊びに来ていた。
サバサバした性格の真依とは一緒にいて楽だし、趣味も近いものがある。