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新幹線から降りた景色は何一つ変わっていなくて、懐かしさを感じるまでもなくあたしの中に溶け込んでいった。
いつもより長い帰省は同窓会の為。重い荷物を肩にかけて、あたしは実家より先にある場所に向かう。
鈍行の電車が、ゆっくりと景色を流してくれた。
…「あらぁ、あおちゃん!ちょっと見ん内に大人っぽくなってから」
玄関口でおばちゃんが、いつもと同じ台詞で迎えてくれた。
「んな変わらんっちゃ。おばちゃんいつもそれ言いよるよ」
「ほんまに~?いや~でも女の子はええねぇ。どんどん綺麗になりよるけぇ」
あたしは荷物だけ玄関口に下ろして、「行ってきていい?」と聞く。
「行ったげて。お茶準備しよくから」
おばちゃんは変わらない優しい笑顔でそう言った。
襖を開けて、仏壇の前に座る。
慣れた手つきで火をつけて、手を合わせた。
少しそのままで目を閉じた後、ゆっくりと開けて仏壇の遺影に微笑む。
「久し振り、さと」