「あおは…大人になったの」

そう言ってヒカルは、あたしに顔を向けた。

夜の闇の中、変わらないヒカルの視線を感じる。

「…そう?」
「おぉ。あの頃はもっとガキで、鼻たらしよったわ」
「何言いよんよ!なわけないじゃ!?」
「ほうけほうけ、」

ははっと笑い、体を揺らすヒカル。
こんな風にまた冗談を言えるなんて、想像すらできなかった。

「…思い出すな」

笑い終えたヒカルは、不意に言った。

「中学に入った頃も、そんなこと思いよったわ」
「中学に入った頃?」

聞き返したあたしに、ヒカルは小さく笑って続ける。

「小学生の頃とは違う。…あおを女として意識し始めたのが、あの頃じゃった」

そう言ってあたしの方を向くヒカル。
視線が交わり、心臓が高鳴る。


「変わっていくあおを見て…俺だけのもんじゃったらいいのにって、思いよった」