「美晴達向こうで待っちょるよ」
「打ち上げいこーって、カラオケ!」
「神ちゃん達も行くんじゃろ?」

綾がそう訊くとさとも頷き、「おぉ、卓也達と行くわ」と答えた。

「じゃあ綾、先行っちょくね!」
「おぉ、またお前らの部屋も顔出すわ」

そう言って片手を上げ、さとだけ教室に向かう。

さとと綾。
二人と高校の違うあたしは、もう学校でのこんなやりとりを見ることは出来ないだろう。

それでも二人には、ずっと今のままでいて欲しい。

不変なんかないとわかっていながらも、そう願わずにはいられなかった。

「じゃ、行こっか!」
「ね、校門でも写真とろっ」

はしゃぎながら歩くみんなの後ろからついて行きながら、ふと階段の前で止まった。

「あお?」

綾が気付き、声をかける。

「あ、うん」、答えながらも、足は動かない。

もう二度と行かないと思っていた。
行く意味がないと思っていた。


…でも。


「…ごめん、先行ってて」
「え、あお!?」

みんなの声を背に聞きながら、あたしは階段をかけあがった。

だって今日は、卒業式。


卒業しなきゃ。


あの、場所からも。