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あんなにも止まないと思っていた雪も、ある日を境にあっさりと止んだ。
後はもう、転がる様に早かった。雪解けは一瞬で、その下からはキラキラ輝く新しい命が芽生える。

先輩達の卒業式を終え、春休みを追い越し、気付けばあたし達は最高学年へと上り詰めていた。

新しい教室に向かう時、入学式の日に裕ちゃん達があたし達に声をかけた渡り廊下を通った。

そこから見下ろす景色は、二年前と何か変わったのだろうか。


桜はただ、静かに静かに散っていく。

桃色の代わりに緑が生まれ、やがて緑の割合が多くなった。


春が終わる直前、あたしは髪を黒く戻した。
表向きは受験を意識してという理由だったが、本当は違う。

変わらずにいられなかった。
立ち止まることが、怖かったんだ。

変化は続く。
変わらない様で、続いていく。


ヒカルと会うことの、ないまま。