あたし達は、そのまま黙って教室へと向かった。
あたしが黙るから、さとも黙る。気を使って欲しくないと思うと同時に、さとのもどかしさも痛い程感じていた。

放課後の教室は時が止まったかの様に静かだった。
大雪警報が出たせいで、今日はどこも部活は休止だった。

薄暗い教室を横切り、自分の席へと向かう。さとは入り口で待っていてくれた。

窓から見える木から、雪が音をたてずに落ちる。
教室に響いたのは、あたしが椅子を引く音だけ。

「…なぁ、あお」

被さる様に、さとの声が響いた。
あたしは黙って机から教科書を取り出す。

「こんな続くんじゃったら、先生に相談した方がよくないか?」

瞬間、白い紙が机の下を舞った。

教室内に降り注ぐ雪の様に、それは静かに床へ落ちる。

思わずあたしは教科書を落とした。

「あお?」

異変に気付いたさとが、あたしの方へ駆け寄る。
妙に冷静な動きで、あたしはその紙を拾い上げた。

『ねぇ、まだ別れないの?
会いに来ないってことは、嫌われてるってことなのに。
嫌われてること、まだ気づいてないの?』

いつもと変わらないゴシック体。
ワープロの文字が、生きているかの様にあたしに襲いかかる。