…何も言えないあたしを一瞥して、田口は歩き出した。
あたしは立ち上がることすらできずに、ただ冷えたココアに視線を落とす。
わからない。
あたしはヒカルに、何ができるのか。
ヒカルはあたしに、何をしてくれるのか。
側にいない、ヒカルが。
…どうしてあの時あたしは、簡単に『守る』なんて言えたんだろう。
守り方すらわからないまま、どうして信じることができたんだろう。
全てを受け入れることができないのなら、簡単に『守る』なんて言っちゃいけなかった。
それは時に、残酷すぎる仕打ちに変わるから。
ヒカルは守ってくれようとした。
あたしはヒカルを、守ろうとすらしなかった。
手放したあたしを、許して。



