田口の瞳に、あたしが映る。
瞬きをすることを忘れたまま、ただその瞳に吸い込まれる。

その目は真っ直ぐで、反らすことを許さない。
質問の意図がわからないまま、ただ、それを繰り返した。

『それでもヒカルが』

「…当たり前だよ」

そう言ったあたしの声は、震えていなかった。

自分でも驚く程、落ち着いたものだった。


「ヒカルはあたしが守る」


真っ直ぐにそう言うあたしの前で、田口は小さく目を伏せた。
そのまま立ち上がり、「そう」と呟く。

「矢槙がそう思うなら、それでいいと思うよ」

そう言って、立て掛けていた傘を取った。鞄を肩にかけ、「ただ」と続ける。

「ただ、ヒカルは矢槙を守れない」

真剣な田口の横顔が、残酷な予言を告げる。

目の前が、すっと暗くなるのがわかった。

『守れない』

言い返せなかったのは、きっと、自分でも感じていたことだったから。

でもあたしはそれを認めたくなくて、ただずっと、信じることだけを続けていた。


ずっとあたしを救ってくれた、ヒカルの全てを。