聞き返すあたしに、田口は視線を向けた。
やっぱりヒカルに似ていると思った。

「偏愛を受けて育ってるから。放任の父親と、極端な愛情の母親。あの母親は、ヒカルを自分の人形だと思ってるから」
「…どういう意味?」
「自分の思い通りにいかなきゃ、気がすまない。手放すことはしないのに、ヒカルに対する愛情は与えない。自分の満足する愛情しか、与えない」

「偏愛だよ、あれは」、そう言う田口の言葉は、難しすぎて全てを理解することはできない。

でも何故か、泣きたくなった。

自分の人形。大切で大切で、ずっと手放したくないけど、それはあくまでも自分のため。

人形のために何かをしようなんて、思えるはずがない。

人形としての愛情しか与えられてこなかったヒカルは、どんな思いを抱えているのだろう。

それはいくら考えても、わかるものではなかった。

「そんなヒカルでいいの?」
「え?」

不意に田口が言った。
思わず正面から田口の顔を見る。二人の視線が合わさる。


「それでもお前は、ヒカルがいいの?」