……………

「あお、今付き合っちょる奴おるんて?」

祐ちゃんの低い声が、部室の連なる校舎裏に響いた。放課後はざわつくこの場所も授業中はもののぬけがらで、寂しさが増す。

あたしは男子バスケ部の部室のドアに背を預け、エリカ先輩からもらったジャージの裾を伸ばした。

「…いたら何」
「別にお前に彼氏がおろぉがおらまぁが文句はないけど」

そこで区切って、下がり気味のズボンを少し上げる。
ヒカルの癖に似ていると、ちょっと思う。

「…相手、垣枝なんじゃろ?」

祐ちゃんの視線が、まっすぐにあたしに向いた。
背を扉に預けたまま、あたしはゆっくり視線を上げる。

祐ちゃんのこんなに真剣な表情、久しぶりに見た。

「…そうじゃけど」

しばらくしてあたしがそう呟くと、祐ちゃんは小さくため息をついた。表情が曇る。祐ちゃんの表情が、あたしの気持ちを曇らせる。

「…何、いけんの?」

少し挑発的に訊く。「いけんっちゅうか…」、言いにくそうに頭をかきながら、祐ちゃんは口を開いた。