どこからか取り出したライターで、垣枝は線香花火に火を着けた。
「ほら」と言うから、仕方なくあたしも垣枝から受け取った線香花火を差し出す。

あたしの線香花火に火を着けた瞬間、その衝撃で垣枝の線香花火が落ちた。

二人、あたしの持つ線香花火を眺める。

チリチリと消えそうな音をたてながら、その短い命を燃やす。

あたしの手に託された線香花火の命は、やっぱり寿命を全うすることなく、途中でポタッと落ちた。

その終わりは、あまりにも汚くて、あまりにも残酷で。

小さな光すらなくなった暗闇で、あたしは線香花火の残骸を踏み潰した。


…線香花火はあたしも嫌いだ。

儚すぎて、嫌い。


「…垣枝」

小さく呟く声は、夏の風音に邪魔されながらも垣枝に届く。

「あたし…汚いわ」

腰かける鉄棒を握りしめた。冷たい鉄の感触が、掌から心に伝わる。