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「おーあお!ようやく来たわぁ」

「どこおったんけぇや」と、さとが花火を振り回しながら叫んできた。大川先生が「危ないじゃろ!」とさとを叱る。

「もぉ花火やり始めてしもぉたわ。どこおったんけ?…あお?」

はっとする。さとがあたしの目の前で手をひらひらとさせる。そこで初めて、あたしは自分がぼんやりきていたことに気付く。

「あ…うん、ちょっとね!あーもう花火ないじゃあ!」

努めて明るく振る舞い、残り少ない花火を手にした。

「…なんかあった?」

しゃがんで花火を手にするあたしの頭上に、さとの優しい声が聞こえた。一瞬、目頭が熱くなる。
でも大丈夫だった。いくら花火をしていると言っても、夜は夜。暗闇が優しく隠してくれる。

「ん?何が?」

立ち上がり、笑顔で言った。
作り笑顔がうまくなったと、我ながら思う。

「や…なんもないならえぇけど」
「何がよー。さと変じゃよ?」
「まぁ…えぇわ。なんかあったら言えや?」

そう言うさとに笑顔を向けて、あたしはそっと人の輪を離れた。

今は、一人になりたかった。